コンプライアンス

物流現場でも重要!色のユニバーサルデザイン

2021.02.24

物流現場でも重要!色のユニバーサルデザイン

色は文字よりも遠くから素早く認識できるため、様々な場所で色を用いた情報伝達が行われています。物流現場においても、マニュアルなどの説明資料、エリア表示や現場掲示など色を使ったコミュニケーションが数多く使われています。一方で、色の見え方の特性(色覚)がその他大勢の人と異なる方もいらっしゃいます。多くの場合全く色が見えないわけではなく、特定の2つの色が同じ色に見えたり、見分けにくいと感じたりするようです。

工夫をすることでそうした色弱者(しきじゃくしゃ)の方にも伝わりやすい色を用いた情報伝達を行なうことができるようになります。

この記事は、自分とは少し違う見え方をする人もいるということ、ちょっとした工夫でそのような人にも色を用いて情報を伝えることはできるということを物流現場管理者の皆様に知っていただければと思い作成しました。

色を使うと情報を伝えやすい

色は情報がひと目で伝わる

現代社会において色を用いた情報伝達はあらゆるシーンで使われています。

信号機には何の説明も書かれていませんが、赤が「止まれ」、青が「進め」という意味なのは誰もが持っている共通認識です。

他にも、走る路線によって電車が色分けされていることもあります。山手線なら黄緑、中央線ならオレンジ、のようにひと目でどの路線かわかるようになっています。路線図もその色に合わせて塗り分けられていたり、駅の構内の案内もその色ごとに床に矢印が書かれていたりします。

ショッピングセンターの店内図では飲食店はオレンジ、ファッション系は青といったようにジャンルによって色が決まっていたりエリアごとに色が分けられていたりします。

色は情報がひと目で瞬時に伝わり、文字など他の手段より遠くから認識できるという点で大きなメリットがあります。

物流現場でも品質・生産性向上に使える

物流現場においても色による情報伝達を活用することができます。色を活用することによって、品質を向上させたり、生産性向上につなげたりすることができます。

物流現場においては、例えば次のような色の使い分けが考えられます。

・ピッキングエリアのエリアごとの色分け

・行き先別に送り状や帳票類を色分け

・歩行禁止エリアと歩行可能エリアの表示

などです。

人によって色の見え方は変わる

このように色を使った情報伝達は非常に便利な一方で、色の見え方が人と異なる方もいらっしゃいます。色分けされている2つの色が同じ色に見えていたり、非常に見分けにくかったりします。

このような一部の色の見分けに困難がある人を色弱者といいます。

色弱者(しきじゃくしゃ)とは

日本では男性の20人に1人が色弱者

色弱者(しきじゃくしゃ)とは、色の識別が一般の人とは異なっており、特定の配色による情報の伝達に困難がある人のことを指します。

カラーユニバーサルデザインを推進するNPO法人、カラーユニバーサルデザイン機構によると、日本では男性の約20人に1人、女性の約500人に1人、日本全体では320万人以上いるそうです。欧米では男性の8~10%、アフリカでは男性の2~4%と言われています。

遺伝的な要因で生まれつき色弱である場合と病気や事故の後遺症によって後天的に色弱になる場合があります。

色弱者の見え方にもいくつかのパターンがある

色弱者の中でも色の見え方にはいくつかのパターンがあります。色弱者同士でも見分けやすい色、見分けにくい色の組み合わせは違うことがあるということです。

物流現場において、そのときに在籍している色弱の方だけの意見で決めてしまうと、別の色覚型のスタッフが働くことになったときに実は対応できないということが起こる可能性があります。

なぜそのようなことが起きるかというと、人間の目にある3種類の錐体と呼ばれる光のセンサーに関係しています。それぞれ赤・緑・青の光を主に感じるセンサーのうち、いずれかのセンサーが少ないことによって色弱が発生します。そのためどのセンサーが弱いかによってどのように見えるかというのは全く異なり、またどの程度少ないかによって見え方の違いに強弱があるということになります。

多くの人が作業する物流現場では配慮が必要

物流現場では駅やショッピングセンターなどのように不特定の人が出入りするわけではありませんが、アルバイトや派遣従業員など短期間の就業を行なう従業員も含めると非常に多くの人が作業を行います。

日本人の男性では20人に1人の割合で色弱者ということは、男性が100人いる現場では確率的には5人色弱の方がいるということになります。

色の使い方についていくつかの配慮を行うことで多くの場合、色弱者も色を用いたコミュニケーション自体は可能です。以下で紹介するように色の組み合わせを配慮することで一般色覚者と同様の品質・生産性で作業を行うことが可能です。

物流倉庫におけるカラーユニバーサルデザイン

多くの人が見分けやすい色の組み合わせを使う

色を用いたコミュニケーションでは、配色次第で色弱の方でも見分けやすい色の組み合わせにすることができます。

下の画像は『カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット ガイドブック』第2版(https://jfly.uni-koeln.de/colorset/CUD_color_set_GuideBook_2018.pdf,2018年,カラーユニバーサルデザイン推奨配色セット制作委員会)を参考に作成しました。

この6色の組み合わせは比較的多くの色覚の方が識別しやすくなっています。

オレンジ、黄色、緑、青、水色、茶色の組み合わせならよいというわけではなく、色味を調整して違いを強調しています。そのため、使用する際はRGB値と呼ばれる数値で設定するようにしてください。

PowerPoint2016の場合、
①「描画ツール」
→②「図形の塗りつぶし」
→③「その他の色」
→④カラーモデルが「RGB」であることを確認
→⑤RGB値を入力
→⑥「OK」

このような手順でRGB値で色を指定することができます。

カラーユニバーサルデザイン推奨配色セットでは他にも様々な色や組み合わせが紹介されており、RGB値以外での色の指定、写真での具体例なども紹介されているのでぜひアクセスしてご覧になっていただければと思います。

スマホアプリで色をシミュレーションして確認する

色弱者の視覚を再現するスマートフォンアプリもあります。研究者の浅田一憲氏が開発した「色のシミュレータ (https://asada.website/cvsimulator/j/)」ではスマホのカメラに写すことで色弱者の色覚を再現し、色弱者にとって見分けにくい配色になっていないかチェックを行うことができます。無料でAndroid・iPhoneに対応しています。

現場をアプリで確認することで情報が見えにくくなっていないかを確認することが可能です。製作中のデザインについて手軽に色弱者の色覚をシミュレーションすることも可能です。

まとめ

色は効率的に情報を伝えることができます。一方で色の見え方は人によってさまざまなためできるだけ多くの方に情報を伝えるためには配慮が必要となります。

より多くのスタッフが効率的に働くことができるよう、色のバリアフリーという観点で現場を巡回してみてはいかがでしょうか。

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