物流知識

EC倉庫担当者が知っておきたいEコマースの基礎知識

2021.06.09

EC倉庫担当者が知っておきたいEコマースの基礎知識

コロナ禍の影響でEコマース、いわゆるネット通販の需要が増えています。自宅にいながらにして買い物ができる利便性から、消費者はコロナが収まったとしてもネット通販での消費が定着するのではないかと言われています。

そんな状況の中、新たにEコマース(EC)の物流倉庫を担当することになる方も多いのではないでしょうか。この記事では新たにEC倉庫の担当者になった方、これからなる方に向けて、Eコマースについての基礎知識をお伝えします。Eコマースのマーケティング的な側面についての知識を持つことで事業全体の最適化につながる物流改善を行うことができます。

Eコマースの構造

商品原価だけがコストではない

メーカーや卸会社から商品を仕入れ、物流倉庫を経由して最終消費者に販売するのがEコマースの基本です。

Eコマースでかかる費用には仕入れにかかった商品原価だけではなく様々なものがあります。

Eコマースの費用は大きく分ければ仕入れの費用、販売にかかる費用、物流にかかる費用に大別することができます。その他、クレジットカード決済手数料や経理財務にかかる人件費などもあります。

仕入れ・販売・物流費

仕入れの費用とはメーカーや卸業者から商品そのものを仕入れるための費用、つまり商品原価のことです。

販売にかかる費用とは、ECモールへの出店費用・販売手数料やモール内でのプロモーションなどのことです。自社サイトを持っていればその構築費用や維持費用もかかってきます。消費者の目に触れなければ販売につながらないことから、様々な広告宣伝を展開します。一般的にネットショップの支出のうち広告をはじめとする販売促進のための費用は少なくない割合を占めています。

物流にかかる費用とは、送料、倉庫賃料、梱包・出荷作業にかかる費用のことです。

物流は単なるコスト部門ではない

これらの費用と売上は単独に存在するわけではなく関連しています。

例えば、大量に仕入れることでメーカーや卸会社から安い単価での仕入れが可能になります。仕入れた大量の商品を保管するためには大きなスペースが必要になります。大量入荷のために追加の保管スペースを借りれば物流費用は上がりますが仕入れは安くすることができます。

安く仕入れることができれば、その分競合他社よりも安く販売することが可能となります。簡単に価格を比較することができるEコマースにおいて価格が安いことは非常に強力な販売促進となります。

実際に追加でスペースを借りてまで大量発注をかけるケースは多くはないと思いますが、保管効率を上げることでスペースを捻出できれば仕入れのコストを減らす効果があるということです。

戦略的な物流改善はEコマースの事業全体に好影響を及ぼすことができます。

EC倉庫担当者が知っておきたいEコマースの常識

クチコミ・レビューの重要性

いまや多くのECサイトにはクチコミやレビュー欄があります。ECサイトの外でもクチコミサイトやSNSで様々な評判が書き込まれています。

ほとんどは商品の特徴や性能に関わるものですが、中にはネットショップの対応について書かれたクチコミもあります。

かなり多くの消費者がこうしたクチコミを参考にしていると言われています。クチコミ・評判は長期に渡って影響を及ぼす可能性があります。

物流の品質は場合によっては低評価なクチコミにつながりかねません。1件のミスは単なる1件のミスに留まらずクチコミとして拡散してしまう場合があります。物流倉庫の担当者としては、物流品質がネットショップの生命線の一端を握っていると言っても過言ではない、ということは覚えておいたほうがよいでしょう。

販売機会損失と不良在庫

顧客が注文しようと思ったときに在庫がなければ注文は他社に流れてしまい、売上は下がります。それを避けようとすれば在庫を常に切らさないようにしなければいけません。

一方でその商品を売りきらなければ最終的に不良在庫となってしまいます。賞味期限や使用期限がない商品であっても、長期間保管しつづけると新商品の発売や経年劣化によって不良在庫化していきます。

不良在庫は物流倉庫において保管スペースを圧迫して他の商品を入荷できなくさせるとともに、ピッキング動線を長くし、清掃の手間を増やすなど物流を非効率化する存在です。

会社によっては不良在庫の定義を持っていない場合もあるので、物流の生産性という観点とスペースの有効活用という観点で破棄を含めた不良在庫の管理を提案してもいいかもしれません。一定期間以上出庫がないなど出荷頻度のみによって定義すれば物流倉庫側で管理することも可能です。出荷頻度別管理を行っている倉庫であれば追加の手間はほとんどかかりません。

不良在庫を定義して認識を共有できれば非効率を避けるための方策をとることができるようになります。例えば、セールの対象にするなどの方法で早めに出荷する、もしくは長期的に在庫として保管するのであれば保管効率アップとほこり等による劣化対策のためにふた付きのケースにまとめて入れて保管するなど対策が考えられます。

まとめ

この記事ではEコマースに関わる基礎知識を要点だけかいつまんで解説しました。

この記事が新しくEC事業の担当となった方の知識、業務改善提案を考えるきっかけになれば幸いです。

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