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【倉庫管理者向け】誤出荷における原因と対策

2020.10.21

【倉庫管理者向け】誤出荷における原因と対策

倉庫の管理者様に向けて誤出荷における原因と対策についてお伝えします。

予めお伝えしますが、この記事では「この機械を導入すれば解決する」「システムを変えれば誤出荷が減る」というようなすべてを解決してくれるような誤出荷対策は紹介していません。

現場ですぐに取り組み可能な対策を中心に紹介していきます。

弊社SGフィルダーは主に物流倉庫に人材派遣を行っている会社で、アウトソーシングを請け物流倉庫の運営も行っています。

そのノウハウを元に、ネット通販などのtoC出荷の誤出荷の原因と対策をご紹介します。すべてではありませんが店舗向け出荷などtoB出荷においても共通する部分がかなりあるはずです。

そもそも誤出荷とは何か

誤出荷の内容を分類する

誤出荷と一口に言っても発生している事象は一つではありません。誤出荷の内容を大まかに分類すると次の5つが考えられます。

・出荷内容が違う

Aという商品を注文したのにBという商品が届いたなどのケースです。消費者からの連絡で発覚することが多いケースです。商品は同じだが別ロットの賞味期限切れのものが届いてしまった、などのケースもあります。

・数量が多い・少ない

Aという商品を3個注文したのに2個しか届かなかったケースです。10個、20個などまとめ買いの際に数え間違いが起きる場合とバラで出荷しなければならないのにケースごと出荷してしまう場合があります。間違ってケースごと出荷してしまった場合、棚卸などの際に個数がずれていて発覚することが多いです。

・出荷漏れ

注文に対してピッキングや積み込みなどどこかの工程で紛失などが起こって出荷が漏れてしまうケースです。厳密に言えば誤出荷ではないかもしれませんが出荷に関する事故ということで誤出荷に分類します。

・宛先間違い

宛先間違いで最も多いのはテレコ出荷でしょう。テレコ出荷とは2つの荷物の宛先票を相互に取り違えて出荷してしまうことです。手作業で宛先データを加工などしている場合、事務作業のミスでデータの宛先そのものが間違っているというケースも考えられなくはありません。WMSで出票を管理している場合はまず考えられないケースです。

・伝票の添付ミス

商品の内容・数量はあっているものの添付されている納品書などの伝票の内容が違う、入っていないなどのケースです。内容が違う場合は宛先間違い同様テレコになってしまっていると考えられます。

誤出荷が起こるとどんな影響があるのか

・個人情報の漏洩になる

納品書には届け先の名前や住所、商品名などの個人情報が書かれています。宛先間違いや伝票の入れ間違いをしてしまった場合、本来届けるべき人でない人に住所や名前、買ったものの情報という個人情報が漏洩することになってしまいます。

・お客様からの信用の低下

誤出荷が起きれば、商品を購入してもらう時に約束したお届け日に正しい商品をお渡しできません。もしかしたら商品は誰かの誕生日プレゼントや記念日のプレゼントだったかもしれません。翌日のお出かけの時に使おうと思って買ったものだったかもしれません。

急ぎのものでなかったとしても注文したものと違うものが届いたならば返送する手間がかかってしまうという点で大きな迷惑です。

・在庫差異の発生

誤出荷が起これば帳票上の在庫数と実際の在庫数が合わなくなってしまいます。あるはずのものがない場合、注文が来ているのに実際に棚に見に行ったらなかった、となればお客様に迷惑がかかってしまいますし、売上の機会損失が発生します。それだけではなく、倉庫内の別の棚やロケーションを捜索したり盗難の可能性を探ったりすることになり、非常に時間と労力の無駄も発生してしまいます。

誤出荷の真の原因はヒューマンエラーではない

誤出荷の原因を探る

・誤出荷が起きる原因は複合的

誤出荷の原因はひとつではありません。誤出荷は複数のミスが組み合わさって起きていることがほとんどです。複数のミスが複数の要因によって組み合わさり、実際に誤出荷が起こります。何か一つの要因を解決すれば誤出荷が0件になるというのはほとんどありえないことだと考えたほうがよいでしょう。

・原因をヒューマンエラーで終わらせたら永遠に解決しない

誤出荷の原因はヒューマンエラーではありません。人間が作業している限り、ミスが起きればすべてヒューマンエラーには違いないのですが、それをヒューマンエラーで終わらせてしまったら問題は永遠に解決しません。

ヒューマンエラーを起こさないよう、作業手順を整える、作業手順を徹底させることで誤出荷はなくすことが可能です。

・ダブルチェックは意味がない

誤出荷を作業者にダブルチェックをさせる、という解決策は誰もが最初に思いつく方法ですが生産性が落ちるだけで誤出荷率が下がる効果はかなり限定的です。ミスを見つけるのは難しく、出荷単位の間違いなど、勘違いによる誤出荷には絶対に対応できません。ダブルチェックはほとんど意味がないと思っていいでしょう。

・複合的な原因を分類して発生数を管理する

誤出荷を0にしたいなら、どのような誤出荷が起きたのか、その原因は何か、ひとつひとつ発生数を記録していくことが第一歩です。誤出荷が起きた時、まずは作業者全員に周知して再発防止を図るのは有効ですが、都度すぐに対策を実施してやり方を変えるのはおすすめしません。手間が増えることで集中力が下がりかえって別のミスを発生させてしまいます。まずは誤出荷の原因を記録し分析することが問題解決への近道です。

誤出荷の原因の具体例

・原因を4つの観点で整理する

誤出荷において、作業ミスが発生する原因は複数が組み合わさってできています。ではその原因とはどのようなものでしょうか。4つの観点から整理することが可能です。すなわち、

– 作業者の特性

– 設備の状態

– 作業方法

– 商品の状態

の4つです。

作業者の特性とは、一人ひとりの性格のような曖昧なものではなく、年齢、性別、習熟度(入社してからの期間)のような、作業者の属性を指します。

設備の状態とは、棚番号の表示がとれている、説明が汚れて読みにくくなっている、作業卓が狭い、など設備面でミスを引き起こす可能性がある状態のことです。また特定の作業場所や棚番号でミスが集中して発生していないかを確認することも必要です。

作業方法とは、作業手順のことです。マニュアル通りに作業が行われているか、マニュアルの内容は適正か、などです。特にマニュアルで行うように定めていた作業手順を省いた結果ミスが起こっている場合も多いので、その作業手順が非効率で過度な負荷になっていないかを確認し、必要で代替手段がないのであれば作業手順を徹底して行うように指導を行うことも必要です。

商品の状態とは、棚の中での商品の状態のことです。バーコードが汚れて読み取りにくくなっているものがある、ケース単位で出荷するのかケースから出して出荷するのかわかりにくい、セット商品だがセットであることがわかりにくいといった要因です。主にピッキングの際にミスが生じて誤出荷につながるケースが多いです。

誤出荷の原因の突き止め方

上の4つの観点を切り口にして誤出荷の原因を探っていきます。まずは共通点から、その原因と解決方法を探っていきます。

例えば、作業者の特性を見ると、入職5日以内の新人作業者がミスを発生させているとわかったとします。すると次に「なぜ新人作業者がミスをするのか」というところを深堀りします。ここで大切なのが「作業の習熟度が低い」という表面的な部分で終わらせず、「口頭で伝えた作業方法とマニュアルの内容が違う」「迷ったときに聞く相手がいない」「教えていない暗黙のルールがある」などの本当の要因が隠れていないかを考えることです。

これを4つの観点すべて検討し、場合によってはさらに「なぜ」を繰り返します。

この時大事なのは安易に作業者の能力を要因に求めないことです。作業者の能力が低いからミスを発生させる、ということになるとその作業を任せられるのは信頼できるベテラン作業者だけになってしまいます。どんな作業者でもミスを起こせないように仕組みを考えるのが第一です。

誤出荷を防ぐポイント

従業員教育

誤出荷を減らすには、なにより実際に作業をしている従業員に「誤出荷は悪である」という意識を持ってもらわないことには始まりません。どんなに完璧なミスを防ぐ仕組みを作ったとしても、実際に作業する従業員が手順を勝手に変えたり無視したりしていれば誤出荷がなくなることはありません。

そのための第一歩は、現在の誤出荷の数と誤出荷数の目標を共有することです。誤出荷数は1ヶ月、1週間あたりの数がよいでしょう。全員で目標を共有し、達成しなければ次回こそはと労い、達成をすれば褒め称えるというサイクルができれば自ずと現場改善は進んでいきます。共有する目標は誤出荷率ではなく誤出荷数の方が誰にでもわかりやすく浸透しやすいです。

誤出荷を減らすという目標を共有した上で、そのための取り組みとして

・朝礼や終礼で発生した誤出荷の内容と原因について周知を行う

・手順・マニュアルを変更する

などの施策を行うことで、従業員も納得感をもって改善が進められるはずです。

手順・マニュアルの変更は実際に作業してみないと問題がわからないことも多いので、変更テストをして作業者に感想を聞く、マニュアルを作成する、本運用にのせる、という手順を踏むのがよいでしょう。

また、人の入れ替わりが激しい現場では、時給や条件を上げて定着率を高めるのも立派な誤出荷対策になります。人が定着することで生産性も高まるため、これらを考慮して時給アップをすることもひとつの改善策です。

誤出荷の原因は1つではない

誤出荷の原因は、誤出荷という同じ現象が起こっているように見えてもそれぞれ全く別の要因によって引き起こされています。一度にすべての要因を無くすのは不可能なので、影響度が高いもの、発生頻度が大きいものの中から、解決可能なものをひとつひとつ丁寧に対策を積み上げていくことが必要です。

ただし、倉庫内で在庫の保管場所がぐちゃぐちゃに乱れていて初見ではピッキング不可能、など明らかな原因があるのであれば、多少ハードルが高くても早期に人手を入れて正常化したほうがよいです。

そうでないならば、ひとつひとつ原因を突き止め、対策をしていくことで確実に誤出荷を減らすことができます。

まとめ

誤出荷の数が多い時、必ず問題はいくつも重なり合っていてどこから手を付ければいいのかわからないように思えます。最初は途方も無いような作業に思えるかもしれませんが、改善を積み重ねていけば必ず誤出荷を減らすことはできるはずです。まずは取り掛かることのできるところからやっていきましょう。

SGフィルダーは物流専門の派遣会社として多くの物流事業者さまと伴走しながら人材供給を行っています。正社員・契約社員の人材紹介も行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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