物流知識
ASN(事前出荷通知)とは?入荷検品を効率化する仕組みを解説
2020.10.21

物流現場で使われるASN(事前出荷通知)についてご存知でしょうか。現場の中で使われているがいまいちよくわからずに使っているという方も多いのではないでしょうか。
ASNを一言で説明すると、「入荷予定の商品の情報」のことです。どんな商品がいつごろ納品されるか、賞味期限はいつか、など様々な情報を実際の商品が納品される前に知ることができます。
この記事ではASNについて簡単に解説しどのように役立っているかを説明します。
ASN(事前出荷通知)とは?
ASNはAdvanced Shipping Noticeの略
ASNはAdvanced Shipping Notice(事前出荷通知)の略です。直訳すれば「事前出荷通知」ですが、「事前出荷情報」と訳されたり、物流センター側から見て「入庫予定データ」と呼ばれたりします。
一言でいうと「入荷予定の商品の情報」のことで、商品の個数、JANコード、賞味期限、納品予定日などの情報を含んでいます。
入荷が完了すると「入荷完了」ステータスに変更されるなど、双方向にやり取りを行います。
ASNはどこから送られてくるの?
ASNはメーカーや卸業者などのベンダーが納品先に出荷情報をデータで送ります。
ベンダー側が発注情報を受け取ると、ASNで出荷予定情報として登録し通知します。
ASNはどうやって送られてくるの?
ASNなど、企業間でのデータのやり取りをする仕組みをEDIといいます。
インターネットが普及する以前から存在する仕組みで、企業間の専用回線でやり取りしている場合もあります。
EDIはASNなどの物流に関する情報だけでなく、金融機関と連携した支払い指示・入出金などの金流、商品のカタログなどの商流なども扱うことのできる仕組みです。いくつかの国際標準規格や業界別の標準規格が存在します。
ASN(事前出荷通知)は物流センターを効率化する
入荷量の事前予測が可能
ASNがあることにより物流センターは効率よく運営することができます。
ASNにより事前に入荷量の予測が可能になります。すべてのASNが正確な入荷日通りに納品されるわけではありませんが、おおよその入荷の種類と量を把握することができます。
翌日の人員配置や保管スペースの使用計画が立てられる
入荷の種類と量を把握できれば、翌日の人員配置やトラックバースの使用計画を立てることができます。入荷の数量が多ければ入荷セクションの人員配置を厚めにする、トラックバース周辺に仮置スペースを予め用意してトラックバースの回転速度を上げるなどの対策を打つことが可能です。
また大量入荷が事前にわかれば、保管スペースの整理によって入荷した商品を保管するスペースを予め準備することも可能です。
入荷検品の工数が下がる
入荷検品の工数もASNのデータが有ることによって下げることができます。
事前にASNによってデータが作成されるので、検品時にASNの情報と突き合わせるだけで検品が完了します。
仮にASNがない場合、商品に付帯する情報(商品名や賞味期限など)を手作業で入力する手間がかかってしまうため、その分工数がかかってしまいます。
TC(通過)型物流センターでは特に重要
TC(通過)型物流センターとは
TC型物流センターとは、入荷した商品を保管せず、積替えを行ってすぐに出荷する物流センター(通過型物流センター)を表します。
スーパーマーケットチェーンの物流センターなど、様々なメーカー・卸業者から一括で仕入れ、物流センター内で各店舗に仕分けする物流センターが代表例です。
物流センターの種類についての記事はこちら
ASNの情報を元に引当をかける
TC(通過)型物流センターでは当日に入荷した商品を順次行き先別に仕分けていく必要があるので、商品が入荷する前に引当をかける必要があります。DC(保管)型物流センターでは入荷後に商品が在庫に登録されないと引当をかけることができないのですが、ASNの情報があることによって、ASNの情報を在庫とみなして引当をかけることができるようにしています。
TC(通過)型の物流センターの運用にはASNは特に重要性が高いと言えそうです。