生産性

物流倉庫における在庫管理の重要性/適切な管理方法やよくある失敗例

2025.03.27

物流倉庫における在庫管理の重要性/適切な管理方法やよくある失敗例

物流倉庫において重要な業務のひとつである「在庫管理」とは、商品を顧客へスムーズに提供するために、在庫の数や品目、状態を正確に把握して管理することです。
適切な方法により在庫管理を行うことで、物流業務の効率化やコスト削減が図れ、結果的に顧客満足度や売上のアップにもつながります。
そこで今回は、物流倉庫における在庫管理の基本ポイントや適切な管理方法とともに、在庫管理の失敗例について解説します。

物流倉庫における在庫管理の基本ポイント

まず、物流倉庫の在庫管理を行ううえで、押さえておきたい基本ポイントについて解説します。

在庫管理の基本的な仕組み

物流倉庫における在庫管理の基本は、「何が」「どこに」「どれぐらいあるのか」を把握し、商品を常に 最適な状態・タイミングで、顧客に提供できる仕組みを維持することです。
具体的には、「発注」→「入庫」→「保管」→「出庫」という倉庫業務の流れの中で、在庫の量・品目・質が適性になるよう計画を立てて管理します。

在庫管理の目的

在庫管理の一番の目的は「適正在庫を保つこと」です。
無計画に在庫を大量に保有してしまうと、売れ残った商品の劣化・処分などで、余計なコストがかかることになります。
逆に保有する商品の量が少なすぎると、注文が入っても在庫が足りず、売上を伸ばすチャンスを逃してしまうことになります。
よって、物流倉庫で最大限の利益を上げるためには、多すぎず・少なすぎない適正在庫をキープすることが重要となるのです。

在庫管理の基本的な業務

単に在庫管理といっても、その業務は多岐にわたります。
以下、物流倉庫における在庫管理の基本的な業務を見ていきましょう。

●入出庫管理
 何が・いつ・どれぐらい入庫(出庫)したのか、在庫の入出庫状況を確認・管理する。
●商品の保管
 入庫した商品を、種類に応じてピックアップしやすい場所、品質が保持できる適切な場所に保管する。
●在庫状況の把握(棚卸し)
 帳簿と照らし合わせながら、倉庫内の全在庫の数量・品目を定期的に確認。
 帳簿上のデータと実際の在庫が一致するかを確認しつつ、過不足や品質低下がないかもチェックする。
●適正在庫の判断
 季節商品や人気商品などの注文数の変動を分析して、発注数や在庫数を調整する。
●在庫処分
 品質が低下した商品や、販売期間が終了した商品を処分し、倉庫スペースに余裕をつくる。

在庫管理で利用されている一般的なツール

次に、在庫管理業務で広く利用されている一般的なツールと、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。

●手書きの表・帳簿
 ノートやファイルなどに在庫数や入出庫の状況などを記入して管理。
 パソコンなどの機器を導入するコストは抑えられるが、アナログな方法なので人為的なミスが生じやすい。
●エクセルの表
 表計算ソフト・エクセルを使って、在庫数や入出庫の状況などを管理。
 計算などは自動でできるものの、入力は手作業になるため、人為的なミスが生じやすい。
●在庫管理システム
 バーコード・QRコードなどと在庫のデータをリンクさせ、ハンディターミナルなどで読み取ることで在庫の状況や動きを自動で管理・分析。
 人為的なミスが減り作業効率もアップするが、システム導入に伴うコストがかかる。
●IoT機器
 AIロボットや監視カメラなどの機器を使い、手作業を減らして業務を自動化する管理方法。
 人為的ミスの軽減や人件費の削減、作業効率化は図れるものの、さまざまな機器の導入や環境整備に高額なコストがかかる。

在庫管理の不備による失敗例と生じるリスク

企業の資産でもある在庫を管理し、適正な状態を維持することは、企業経営や利益に関わる重要な業務となります。
そのため、在庫管理が適切に行われていないと、経営に影響する多大なリスクが生じる可能性もあります。
以下、在庫管理の不備でありがちな失敗例とその原因、生じるリスクについて解説します。

発注の判断ミスで膨大な過剰在庫が発生

最新の商品情報や市場動向をチェックせず、担当者の思い込みで発注し、生じてしまった失敗例。
売れると見込んで大量に仕入れた商品が、すでに型落ちでほとんど売れず、膨大な過剰在庫が倉庫スペースを圧迫。
結果、外部倉庫を借りるための保管料や、売れ残った商品を処分するためのコストがかさみ、経営に打撃を与えた。

商品の保管場所がわからず探し回る

入庫した商品が仮置きされたままになっている、保管場所のルールが定められていない、などが原因で生じてしまった失敗例。
商品をピッキングする従業員が、倉庫のどこに・何が・どれだけ保管されているのかわからず、注文が入った商品を探し回る余計な手間や時間がかかり、作業効率や従業員のモチベーションが低下した。

食品の入庫日や期限を管理せずに保管・出庫

食品の入庫日や賞味(消費)期限を管理せずに、保管・出庫し生じてしまった失敗例。
毎日入庫する食品をそのまま次々と棚に積み重ねて保管し、棚の上部からピックアップして出庫していたため、棚の下部に期限切れの在庫が発生。
入庫日や期限に応じて保管場所(位置)のルールを定め、古いものから出庫していれば売れたはずの商品を処分する事態となり、本来得られる利益が失われた。

物流倉庫の在庫管理を適切に行うための方法

では最後に、在庫管理の不備によるリスクを未然に防ぎ、在庫を適切に維持・管理するための方法を確認しておきましょう。

在庫管理のルールを整備してマニュアルを作成

これから在庫管理に取り組む際には、まず業務のルールを整備してマニュアルにまとめておくことが重要です。
従業員がルールを理解しやすいように、簡潔でわかりやすいマニュアルを用意しましょう。
マニュアルがあれば新人も仕事を覚えやすく、個々の従業員が自主的に業務に取り組めるようになります。
さらに、新しいルールのマニュアルを導入した後も、現場でスムーズに機能していない部分があれば調整し、状況を見ながら適宜アップデートさせていくことも重要です。
また、在庫管理システムを導入する場合は、ベンダーの助言に沿ってルールを整備し、機器類の具体的な操作方法などもマニュアルに明記しておくことが大切です。
従業員から希望があれば、機器の取り扱いに関する勉強会なども実施しましょう。

ロケーションを管理する

ロケーションとは、商品の保管場所を示す倉庫内の住所のようなものです。
このロケーションをきちんと定めて管理することで、在庫が倉庫のどこにあるのかが把握しやすくなり、商品のスムーズな入出庫やピッキング作業の効率化に役立ちます。
ロケーション管理の方法としては、棚や収納場所に番号を振り、どの商品がどの番号にあるのかを一覧表で管理・共有するのが一般的です。

棚卸しの実施頻度を増やす

棚卸しとは、倉庫にある商品や数量が帳簿上のデータと一致するか、不動在庫や品質低下がないかなどをチェックする作業です。
時間がかかる棚卸しは決算期に行う企業が多いですが、実施する頻度を増やすことで、帳簿の在庫と実際の在庫を突き合わせる機会が多くなるため、実地に基づいたより的確な在庫管理が行えるようになります。
とくに、在庫管理の業務を見直す際には、まず棚卸しを必ず実施し、倉庫内の全在庫を正確に把握することから始めましょう。
また、まとまった棚卸しの時間が取れない場合は、保管エリアや品目ごとに分割して少しずつ行うのがおすすめです。

まとめ

今回は、物流倉庫における在庫管理の重要性について、さまざまな視点から解説しました。
ネット通販市場の拡大によって貨物量が年々増加する中、物流倉庫では在庫管理の最適化に注目が集まっています。
ぜひ本記事でご紹介したポイントを参考に、在庫管理の見直しや新たなオペレーションの導入を検討し、物流業務の効率化やコスト削減、売上アップに役立てていただければ幸いです。

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