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ダブルチェックやトリプルチェックに意味はない?うまくいく方法例は?

2022.05.30

ダブルチェックやトリプルチェックに意味はない?うまくいく方法例は?

ミスが発生した時、再発防止策としてダブルチェックやトリプルチェックを実施することは多いと思います。一方で実務経験上、ダブルチェックやトリプルチェックの有効性について疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、ダブルチェックやトリプルチェックの有効性が低くなるのには無意識下の心理が影響していると言われています。

この記事では、なぜダブルチェックやトリプルチェックの有効性が低いのかを解説し、どうすれば有効なダブルチェックが可能になるのかを解説します。

ダブルチェックやトリプルチェックがうまくいかない理由

ダブルチェックのそもそもの考え方

そもそも、ダブルチェックを行うとなぜミスが発生しなくなると言われているのでしょうか。

仮に、0.01%の確率でチェックミスをする作業者が2人いたとしましょう。計算上、ダブルチェックを行うことでミスの発生は0.01%×0.01%で0.0001%になるはずです。本来のミスが起こる確率の10,000分の1まで下がるため、確かにミスの発生確率は下がるように思えます。

しかし、実際にはこの計算ほどはミスの発生は下がらない場合が多いです。

その理由の一つとして、無意識下の心理が影響していると言われています。それがリンゲルマン効果です。

リンゲルマン効果で手を抜いてしまう

リンゲルマン効果とは、複数人が協働して行動したとき、無意識的に個人の能力が低下してしまう現象のことです。フランスで活躍したドイツ系研究者マキシミリアン・リンゲルマンが実験を通じて発見したことからそう呼ばれています。

リンゲルマンが行った実験とは、綱引きを行い、複数人で引っ張ったときに一人あたりの力がどのように変化するかを調べるものです。

その結果、1人で引っ張った時を基準として、2人だと93%、3人だと85%、4人だと77%、8人になるとなんと半分以下の49%の力しか発揮できませんでした。

手を抜いていることには自分でも気づけない

これは意図的に手抜きをしているわけではなく、本人は全力を出しているつもりにも関わらず無意識に起こってしまう行動だそうです。

リンゲルマン効果は綱引きのような肉体的なパフォーマンスに限らず、チェックのような認知的なパフォーマンスにおいても現れます。

このリンゲルマン効果が、ダブルチェックやトリプルチェックの際にも現れ、結果としてミスが見逃されてしまうということになります。

リンゲルマン効果が発生する理由

リンゲルマン効果が発生する理由として、個人としての寄与が見えにくくなること、個人として評価されにくくなることなどがあります。

ダブルチェックやトリプルチェックにおいて、複数でチェックすることにより逆に誰がチェックしたのかがあいまいになってしまうため、無意識にチェックがゆるくなってしまうと考えることができます。

逆に、個人のタスクとして役割が明確化し、個人としての評価が与えられるようになることでリンゲルマン効果が発生するのを防ぐことができるとされています。

ダブルチェックやトリプルチェックがうまくいく方法の例

リンゲルマン効果が発生するのを防ぎ、効果的にダブルチェックやトリプルチェックがうまくいく方法はないのでしょうか。

結論からいうと、方法を工夫することでうまくいく場合もあります。ただし、どのような場合でも適用できるわけではありません。

チェックの方法を変えればダブルチェックもうまくいく

その方法とは、ダブルチェックの際、1人目の作業者と2人目の作業者のチェックする方法を変えることです。

例えば、出荷検品の際、1人目の作業者はJANコードの番号を照合してチェックし、2人目の作業者は商品名を照合してチェックを行います。出荷検品で商品の取り違いが起きるのは、JANコードや商品名などが似ているといった原因があることが多いので、仮にダブルチェックの結果ミスが起きたとき、似た商品名で全く異なるJANコードであればJANコードを確認していたほうの作業者にチェック漏れがあったことがわかり、反対に似ているJANコードで全く異なる商品名だった場合は商品名で確認していた作業者にチェック漏れがあったことがわかります。

このように、チェックの方法を別々にすることで二面的に確認が可能になり、かつ後からでもどちらの作業者の確認が漏れていたかがわかるようにすれば、リンゲルマン効果も発生しにくくなると考えられます。

まとめ

ダブルチェックやトリプルチェックを有効な手法とするためには、異なるアプローチでチェックをするなど方法に工夫が必要です。同じ方法でのチェックではなく、異なるアプローチでのチェックを実施するように工夫することで本来の狙い通りの効果を発揮することができます。

ダブルチェックを実施したとき、1人で行うチェックと同じ精度でダブルチェックをしない限り、ダブルチェックの有効性が発揮できない可能性があります。

同精度でチェックを行おうと思うと工数は2倍になるかもしれません。そのため作業員の業務量調整を行ったり、作業員の増員が必要になることもあるでしょう。当社SGフィルダーは物流・製造に特化した人材派遣を行っております。ぜひご相談ください。

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